ヒマラヤと茶の本 7 幸福と空間認識
メンバーが山を降り、
ここからアッパームスタンに向かいます。
タサンのアルジュンさんには、
「またアッパームスタンに行くの?」
とやや呆れられます。
一度でも行ったことのある人は、
アッパームスタンが相当に厳しい場所だと知っているからです。
先人たちがお茶を霊薬や妙薬として用い、
南朝の詩人が「翡翠の液体から生まれた泡」と称えたように、
私にとっては特別なエッセンスを得るための場所であり、
そのエッセンスを得るためのプロセスは、
日常から続いているのです。
アッパームスタンへの道路は、
毎回通る度に改良され(中国サポートにより)ています。
ここ最近ではビルさんの「中国が作ってくれた」
という言葉の回数はますます増して、
少々辟易してしまうほどです。
電気の通っていなかったところに電気が通り、
歩いてしか辿り着けなかったところに道路が通るのは、
住人の方々にとっては夢のような便利さであり、
お気持ちよくわかります。
不便だからこそ残っていた太古のエッセンスが失われていくことを
嘆きたくなるのは、
全くもって私の問題です。
しかし、その裏にどんな政治的な策が巡らされているのか知るのは、
すでに取り返しがつかなくなった後
ということは何処でも同じです。
8時間のドライブでガリゴンパに到着。
ストーブのあるお部屋に上っていくと弟さんが変わらぬ笑顔で迎えてくださいます。
いつもの経典部屋に荷物を運ぶと、
前回居なくなったはずのネズミの気配!
何ということでしょう・・
「ネコは?」
と聞くと、
村の犬に目をやられてしまったそうです。
目のせいなのか、ネズミがネコに慣れてしまったのか、
とにかくネズミは経典部屋に戻っていました・・・
途端にブルーになる私。
早速ゴンパに入り、
独特の空気感を全身で味わいます。
山本ユキブログ「イシスの息吹」より転載
http://yukiyamamoto.hatenablog.com/entry/2018/12/10/072936